『風神雷神』

 マカオの世界遺産 聖ポール天主堂(外壁のみ立っている)地下から天正遣欧使少年使節団(1582-1590)の一人原マルティノ(長崎県波佐見出身 帰国後マカオで布教活動を続け、そこで1629年死去)の日記が発見され、次のような驚くべき事実が明らかになりました。

「世界制覇をひそかに夢見ていた織田信長は、ヨーロッパの中心地ローマの実情を知るべく、自分が送り出す天正遣欧少年使節団に当時まだ14歳の俵屋宗達を加えさせ、現地の文物を徹底的に書き写してくるように命じた。なお信長はローマ教皇への貢物として自分の居城である安土城周辺の繁栄を表す「洛中洛外図屏風」を当時最も高名な画家狩野元信に描かせたが、その端に見える南蛮寺は早熟であった宗達が書いている。

 宗達は欧州各地でスケッチを重ね、同時にダビンチやミケランジェロの作品に接して感動している。そしてミラノで偶然巡り合った同年代のカラバッジョとは意気投合し、友情の証として風神雷神図を描いて渡した」 なおカラバジョは後年テニス賭博で殺人犯となり脱獄するなど、数奇な運命をたどっていますが、そのドラマティックな色遣いとテーマ選択は他の追随を許しません。私の大好きな画家のひとりです。

いかがでしたか?正月早々の壮大なフェイクストーリー、ご堪能いただけましたか? 『風神雷神』は昨年末に正月用に図書館で借りたのですが・・・・五年ほど前に読んでいたことに気づくのに約30ページかかりました。もうボケがかなり進行しています。悔しいので上下二巻、最後まで読みなおしました。作者はアート小説の第一人者である原田マハ、もし未だなら、ぜひお読みください。

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