三浦綾子さん 珠玉の言葉

 

私は本を読みながら気に入った言葉にはラインを引くかまたは付箋を付けておき、読み終わったらもう一度そこだけを読み返します。そして本当にいいなと思った文章はパソコンに入れるという習慣をもう10年以上続けており、これまでに900近く集まっています。一時、三浦綾子さんのエッセーにハマり、多くの著書を渉猟しました。私がパソコンに残しているものを以下に紹介します。なにか一つでも皆さんのココロに”刺さる”ものがあれば幸いです。 ただ、私は「知る」あるいは「ナルホドと感心する」ことと、それを「実行」することの間には ”暗くて深い川がある(ここは野坂昭如のイメージで!)” と思っています。残念ながらカナズチの私はこの川をなかなか泳ぎ切れずに、反省の毎日です。

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人間というものは、洋服を着たか、着物を着たか、下駄を履いたか、ピカピカの革靴を履いたか、そんなことぐらいで、たやすく影響される存在だということを、わたしは知らされたのかもしれない。        『小さな一歩から』

人間はみな「ほめられたい」「認められたい」という強い願いを持っている。                                        『新約聖書入門』

何の脈絡もなくだれかの言葉「手の五本の指はそれぞれ違っている」が思い出された。あまりに当然のことだが、この五本の指が全部同じだったらどうなのだろう。思わず自分の手を見る。人も、細い人あり、太い人あり、低い人あり、高い人あり、様々あってこの世は成り立っている。   『この病をも賜物にして』

習慣というものの恐ろしさを私は感じた。悪い習慣が身に付くには意志の力を必要としない。が、歯を磨くとか、外出から帰って手を洗うとか、こんな習慣でさえ、良い習慣というものは意志の助けを必要とする。                                        『わが青春に出会った本』

人間は、まことに不完全なものである。自分はこれでよしと思って生きていても、知らず知らずのうちに人を傷つけているのだ。短所のみならず、長所によっても人を傷つけてしまうのだ。        『生きること思うこと』

「俗に『目は口ほどにものを言い』っていうでしょう。意地悪な目や、冷たい目、憎しみに満ちた目など、あたしたちはどれほど目で人を傷つけているかわからないわ。口で言うときはかなり自分でも意識しているけど、無意識に人をみている時には、それがよくわからないのね。」                                『積み木の箱』

わたしたち人間というのは、実に、計算のわからぬ存在ではないだろうか。なぜなら、百度親切にしてもらっても、一度嫌な思いをさせられると、もう、その親切を忘れてしまうものだから。

褒めるに値することを率直に注目することもむつかしいものである。かえって、正しい物、すぐれた者を、わたしたち人間は往々にして憎む。人間は自分と同じことをする人でなければ、好きになれないようにできている。                                           『旧約聖書入門』

人間は小さく弱い存在なのだ。名前を覚えられていたというだけで、生きる意欲が湧いたり、ダメな奴と言われただけで、死にたくなったりするものなのだ。私たちは心して、人に勇気を与え、喜びを与える。つまりその人の良さを引き出す言葉を出すべきであると思う。                      『孤独のとなり』

その傷に薬を塗り、ほうたいを巻いてやる時以外、人は断じて、他の人の傷に触れてはならないのだ。大きな失敗をした時は、誰が責めなくても、本人自身がいてもたってもいられぬほどに、自己を責めているものだ。その上、人が責めるのは、これこそ過酷というものだ。が、小さいミスは、本人がそれほど呵責を感じていない。しかし、その小さなミスのくり返しは、その人間に一つの傾向性をもたらす。そうなってからでは遅いのだ。小さなミスは、気づかせてやらなければ、本人が気づかない。だから少々叱ってもいい。                                   『私の赤い手帳から』

人が「誤解された」と言う時、それはほとんどの場合、自分の欠点を言い当てられた時ではあるまいか。つまり、極めて正確に自分を見られたときに言うのではないか。                             『北国日記』

はい、いいえ、ありがとう、すみませんと、すっと言葉の出てくる人はやはり素直ですね。性格がいいようです。                                                        『残像』

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