海岸線を護れ!

昨晩、佐世保日米協会創立60周年記念式典で、元自衛隊統合幕僚長 河野克俊氏の講演を聴くことが出来ました。大局観と実務経験に裏打ちされたとても示唆に富む内容で、聴きながらこんな 「妄想」 をしていました。

(1)ともすれば防衛費のGOP比率が注目されがちである。これは企業の財務三表でいえば、貸借対照表と損益計算書マターであろう。しかし、国防において、企業経営におけるキャッシュに相当するのが「情報」である。 いくら装備品を充実させても、その適時適切な運用、その大前提となる情報がうまく機能(いわゆる血液サラサラ!)していなければ文字通り画餅に帰す。

(2)米国憲法では戦争宣言権は議会が有しており、日米安保条約下でも、極めて例外的な緊急事態にしか大統領は軍隊に命令できない。(事後、速やかな議会の追認が求められる。)

(3)現下のようなVUCAの時代にあって、果たして自衛隊、監督官庁、米軍、米国議会そして両国首脳の間の情報フローはうまく流れているだろうか?特に現在の極めて不安定なアメリカの政治体制を勘案した場合、不断の緊密な人事交流が必要である。よく「人事を見れば本気度が分かる」と言われるが、果たしてエース級の人材がそこに投入されているのだろうか?

(4)過去の反省から「シビリアンコントロール」が強化されたというが、「コントロール」という言葉が「軍隊の暴走を抑える」という狭義にとらえられており、「統制する」「管理する」という本来の機能が忘れられてはいないだろうか?内閣改造ごとに、いつも派閥人事の結果で防衛大臣が決まるという現状で「シビリアンコントロール」が本当に機能しているのだろうか?

(5)私は全日空ホテルマンとして29歳からフィリッピン・マルコス政権末期に3年半現地駐在し、戒厳令も経験した。イメルダ夫人の親族企業が事業パートナーであったため、とくに神経をとがらせていた。ある日、ドイツ人総支配人がマルコス政権崩壊にそなえた5段階の危機管理プラン(Contingeicy Plan)を作成してきた。最終段階では従業員はホテルに立てこもってお客様を護るといった極めてドラスティックな想定であった。すぐに本社に報告したが、真剣には取り上げられず、あらためて日本人の危機管理センスの薄さを思い知らされた。 現在、果たしてどれくらい密度の濃い国防危機管理プランが日米両国間で構築・共有されているのだろうか?

今朝、そんな「妄想」を思い出しながらウオーキングをしていたら、JR佐世保駅からほんの数百メートル先の佐世保港岸壁に、自衛隊最新鋭護衛艦が停泊しておりパチリ! 排水量5,000トンくらいで、ハリネズミのようにアンテナを張り巡らせており、ステルス性能も高そうです。 ネットによれば、「海上自衛隊の人員不足をふまえ、乗組員を従来艦の半数にし、休養期間を増やす「クルー制」を採用。「働き方改革」の一環とも言えるが、中国軍の動きを警戒する重要な任務を担うだけに、「人は休ませつつ、艦は動かし続ける」(海自幹部)ことを目指す。」そうです。

 

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