誰がボスか?

1962年、ニューヨークフィル交響楽団の演奏会でブラームスのピアノ協奏曲が演奏されました。ふつうは独奏者、つぎに指揮者がステージに出ていくのですが、この時は指揮者バーンスタインだけが登場して指揮台に上がり、スピーチを始めました。クラシック演奏会では極めて珍しいことです。どうやら事前のリハーサルでピアノ独奏者(グレン・グールド)と音楽解釈で食い違いが大きく、結局今夜はグールドの解釈に従って指揮をすることにしたことの釈明スピーチでした。

そのなかで「協奏曲では、指揮者と独奏者のどちらがボスなのか?」と言うフレーズが大変有名になりました。徹底的に指揮者が独奏者を抑え込むケースもあります。カラヤンが R.シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」を指揮したとき、カラヤンは客演チェリストであるロストロ・ポービッチの出す音に違和感を覚えたそうです。尋ねると「ドンキホーテの性格を表現しようとして、わざと下品な音を出そうとしている」との返事でした。カラヤンはそれに対して反対し、徹底的に音楽的な美しさを要求しました。聴いていた小澤征治によれば、演奏後のロストロポービッチは死人のようであったそうです。

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