以下はJR九州相談役(元社長)唐池恒二氏が日経新聞「私の履歴書」の中で書かれていた超豪華寝台列車「ななつ星」開発秘話のひとつです。「私たちは欧州やアジアで豪華列車を乗り歩いた。その結果、鍵の一つがサービスの違いだと気づく。日本で高級とされる施設は丁寧だが型にはまった接客をする。しかし世界の富裕層は、休暇の場では、くだけた接客を好む。丁寧な接客は仕事の時だけで十分だからだ。」
そういえば以前、あのリッツ・カールトンもジーンズにポロシャツ姿で来館するICT業界の富裕層顧客へ ”Certainly, Sir” のような丁寧語にかわりどんな言葉を使えばいいかを本社内でも話し合っているというニュースをホテル専門誌で読んだことがあります。またルイ・ヴィトンの東京ガイドにもリストアップされていた旅館「銀座 吉水」(東北大震災の余波で閉館)のパンフレットにはこう書かれていました。
「この佇まいの中で、特別なおもてなしは致しませんのでどうぞごゆっくりお過ごしください。
わが国でも富裕層向け宿泊施設の開発が急ピッチで進められていますが、これまで老舗高級旅館などで育まれてきた「おもてなし」は大事にしながらも、その先の地平を見据えて新しい「もてなし」の姿を模索していきたいものです。