アメイジング グレイス Amazing Grace

「買ってきて欲しいシーデーがあるのよ」
「シーデーってなに?」
これは15年ほど前に書かれた重松清『峠うどん』にある祖母と孫娘の会話です。ここ数年、テレビ通販で「デーブイデー」を連呼しているあのシャチョーさん、もしかしたらこの本からパクったのかも。

祖母が欲しがっていたシーデーは「アメイジング・グレイス(キリスト教讃美歌)」でした。そして文中にその歌詞(の一部)が紹介されています。
”驚くばかりの 恵みなりき
この身の汚れを 知れる我に
恵みは我が身の 恐れを消し
任(にん)する心を 起こさせたり”

いつもメロディーの美しさに心が奪われて、真剣に歌詞を考えることが無く、題名「Amazing Grace」も、テキトーに「驚くべき優美さ」と解釈していました。しかし「Grace」は、「神の恩寵」と理解すべきだったのですね。たしかに辞書にも(後ろの方に)出ていました。

この訳詞を読んで、私はすぐに浄土真宗の悪人正機説「善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」を連想しました。私は悪人正機説がなかなか理解できずにいまでもオージョーしているんですが、このアメイジング・グレイスの歌詞は悪人正機説と根っこで深くつながっているのではと思った次第です。いかがでしょうか?

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