カタカナ用語と頭字語の氾濫

「先生の講義はカタカナが多く分かりにくいです」

これは大学教員時代、受講生による授業評価の自由意見覧に書かれたものです。カタカナの多用癖には思い当たるふしがあるだけに大いに反省させられました。

このトラウマもあって、その後、地元の商工会議所会員向け会報誌に「知っとっと?こがんカタカナ英単語」というエッセーを掲載してもらい、アジャイル、ナッジ、パーパス、アルゴリズム、シンギュラリティなどよく新聞などで使われるカタカナ英語の意味を解説しました。同時に、カタカナのような外来語自動変換ツール(?)を持たない中国語ではどう漢字(繁体字)で表現しているか? Copilot と ChatGPT を使って調べ、それも加えました。二つの生成AIが違う答えを出してくることもありました。今月号で最終号を迎え、全12回の紙面をPDFにしてもらいました。ご希望の方は antoku0412@gmail.com までご連絡ください。

 もう一つ付け加えるなら、新聞が使う頭字語(IR, DX,IT などなど)がワカリニクイ! IRなどは、統合型リゾート(Integrated Resort)と株主向け広報(Investor Relationship)の二つの意味で使われており、短い見出しのなかにこの二文字があっても、記事を読まなければどっちの意味で使われているのかわかりません。どうしてデジタルトランスフォーメーションがDXになるのか?

一体だれが決めたのか、責任者出てこい!(ここは松鶴家千代若・千代菊の声色で!)と言いたいところですが・・・・。

 哲学者ヴィトゲンシュタインは「ヒトは言葉を通じてのみ思考できる」と言っています。カタカナ用語や頭字語の意味をいちいち調べるのは面倒くさいかもしれません。しかし、ここまでくると、我々の思考レベルの維持・向上にとってこのひと手間は絶対的に必要ではないかと考えます。「フリーランチはない!」ですよね。幸い、スマホや生成AIなど簡便な検索ツールは身近にあります。

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