数日前、トランプ大統領が習主席(国賓)をホワイトハウスに招いた時、習主席の肩を叩きながらバイデン前大統領の写真(歴代大統領の写真の中でバイデン氏だけが顔写真ではなく、自動サイン器の写真 ― バイデン氏の高齢を揶揄)を見せていた写真が公開されていました。
トランプ大統領の国家指導者としての品位にかける数々の言動 ー 私たちももうだいぶマヒしてきていますが、これがトランプ大統領の極めて例外的な資質に由来しているのか?それとも?
「私が最も心配しているのは、トランプ自身より、この指導者を二度にわたり呼び込んだ米国の根深い問題だ」米ハーバード大学ロバート・パットナム博士
パットナム博士よりだいぶ前、1966年にノーベル文学賞受賞作家スタインベックが『アメリカとアメリカ人』のなかでこの「根深い問題」を鋭く指摘しています。以前、このb.c.c.平信で紹介しましたが、もう一度そのエッセンスを再掲させていただきます。
この短い本は、「「もっとも不思議なことは、この統一アメリカが400年ちょっとで出来上がったことである。ちょうどイギリスがローマ軍団に占領されていたのとほぼ同じ時期にすぎない」という印象的な言葉から始まっています。
(1)この土地は贈り物ではなかった。石だらけの土地は我々に反撃し、途方もない森林や砂漠、そして治療不可能な病気がたちはだかった。またインディアンは自分のものと思った土地を守るために、力のかぎり戦った。はじめにやってきた人たちは土地を自分のものにするために働き、戦い、死んでいった。この4世紀に及ぶ労働と流血と孤独と恐怖が、あらゆる人種に根ざし、あらゆる色をし、民族的には一見無秩序な新しい民族に作り上げたのだ。
(2)最もよくあげられるアメリカ人の特性の一つは、じっとしておらず、満足せず、求め続ける国民だということである。だいたいにおいて不摂生な国民である。いわゆる美徳においても節制がない。禁酒主義者は自分が飲まないだけでは満足せず、世界中の酒を禁ぜずにはいられない。我々は生活の保障とは、壺いっぱいの金貨と考え、そのためには行く手を邪魔する者は友達でも見知らぬ人間でも踏みにじる。そして壺を手に入れると、それでもなぜ不幸なのかをみてもらうために、精神分析医に、金貨の雨を降らせる。
(3)我々は大統領に一人の人間ができる以上の仕事を与え、一人の人間が背負うことができる以上の責任を負わせ、一人の人間が耐えられる以上の圧力をかける。この最高の職務に対して国民はさまざまに報いているが、さらに我々は暗殺でもって報いる。多くの大統領が命を狙われ、四人の大統領が殺された。外国からの攻撃から大統領を守るのは比較的容易であろうが、アメリカ人から守るのは不可能に近い。
(4)黒人が法律上の平等性を獲得するのは疑いない。しかし法的平等性は平等性の最小の部分でしかない。だれもが誰かを見下ろし、誰よりか優れていたいと望むことは、人間の好ましくない性癖のひとつである。黒人の傷と白人に対する強い猜疑心に対比しうるものは、白人の黒人に対する恐怖と猜疑心しかなく、そのような感情の痕跡があるかぎり、真の平等性は達成されないであろう。
(5)我々は英国に反逆し、自分たちの屋台を建てたとき、爵位、名誉、相続制の身分、財産といった貴族制度のシンボルを慎重に排除した。しかし、どんな人間でも他人に尊敬されたいし、もしかしたら多少は羨ましがられたいので、アメリカ人は金と財産こそがその源泉であると考えるようになった。
(5)私は、初期の入植者がこの豊かな大陸にどんなに乱暴に、どんなに向う見ずにふるまったかを思って愕然とする。彼らは平原から水牛を追い払い、川を枯らし、草原に火をつけ、人の手に汚れていない高貴な森林に、恐れを知らぬ斧を入れた。こういう無責任な傾向は、現在でも大多数の人々に根強く残っている。我々の多くは、いまなお祖先と同じように行動し、目先の利益のために未来を台無しにしているのである。
(6)戦争の圧力で、ついに原子爆弾をつくり、日本の二つの都市に落とした。私は恐れおののき、恥ずかしく思っている。私が知っているほとんどの人間は同じように感じている。声高く、荒々しくヒロシマとナガサキを正当化する人がいるが、彼らこそ最も恥なくてはならない。
(7)アメリカの土地は、我々の祖先の故郷であるヨーロッパとアジアの開けた地方から船で何か月も航海しなければならぬところにあった。最近まで、平均的なアメリカ人が生涯に外国を見る機会は極めて少なかった。実際に通信することもほとんどなかったので、自国以外の言語を学ぶ必要もなかった。
(8)新しく誕生したばかりの国として、我々は世界中の政治を理解せず、したがって巻き込まれるのを恐れた。ワシントンも他国との同盟関係に巻き込まれないように警告した。
(9)私は、我々の道徳的、精神的解体は、我々が豊かさに対して、経験が足りないところからきているのではないかという気がしてならない。
(10)私たちは、政治的立場を政策上の争点に基づいて決めるのだと誇らしげに主張する。ところが実際には、その人の宗教や名前、鼻の形を理由に、その人に反対票を投じる。
(11)過去の経験からいって、我々は多くの誤りをおかすだろう。我々はいつも誤りをおかしてきた。しかし私は、アメリカにおける我々の歴史、経験から、来るべき変化に対処する力があると信ずる。我々はかって、じっと手をこまぬいてきたことはない。
以上、お疲れさまでした。

