ホーキンス博士が病床で得た「7つの気づき」

7年前に亡くなったイギリス人物理学者ホーキンス博士は、21歳の時にALS(筋萎縮症)を発病し、余命2年の宣告を受けました。絶望と悲嘆の数か月の後、敢然と病と立ち向かい76歳で亡くなっています。博士は講演会(日時不明)で、自分の長い闘病生活で体得した「気づき」を七つにまとめて話しています。最後に会場の参加者に向かって心温まるメッセージを告げています。
1. 人の本当の優しさは、(励ましなどの)言葉ではなく、その人が実際にどんな行動をとったり、寄り添ってくれたりするかである。
2. 出来なくなっていくことを嘆くのではなく、どんな小さなことでも今の自分にできることを見つけて、それを一つ一つ毎日続ける(習慣化する)ことが大切である。
3. 声を失って初めて人の話を真剣に聴くようになり、話者の目の動き、手の仕草、声の調子などに気づくようになった。
4. 入院当初は見舞客や看護婦などへの気づかいから無理して笑顔をつくっていたが、そのうち自然な笑顔がうまれてきて、周りの雰囲気が明るくなってきた。
5. 見舞いに来る友人の数がだんだん減ってきてガッカリしていたが、そのうちに彼らのことが理解できるようになってきた。*同じ病気がうつるのではないか? *何を話していいか分からない *これまでの元気な姿を知っているので、ベッドに横たわる姿を見るのはつらい etc. 友達は数ではない、たとえ一人でもいてくれれば、それはそれで素晴らしいことである。
6. 病気になってやれることがだんだん少なくなってきて、いかに時間が大切であるかが分かってきた。親が子供に贈る最高のプレゼントは「親の時間」だ。子供にとって親と一緒に過ごした時間(経験)は、一生記憶に残るはずである。時間は民主的で、一人一人平等に持っている。しかし、その使い方で人生は変わる。
7. 「学び」は、難しい本を読んだり理論を考え出したりすることだけではない。私は病気療養中に学び続けることの大切さを知った。たとえば看護婦の熟練の身のこなしに秘められた、経験に裏打ちされた「思い遣り」に気づくことも大学では得られなかった学びであった。「学び」を妨げるのは、「自分はもう十分に分かった」という思い込みである。日々の生活の中で、周りの人々から、そして経験から、謙虚に、でも好奇心をもって学び続けることにより、人生が豊かになっていく。

ホーキンス博士から参加者へのメッセージ

余命2年を宣告された私がなぜここまで生きてこれたか? それは希望があったからです。しかし私もだんだん体が動かなくなってきて絶望することもありました。それでも出来なくなっていくことを考えるのではなく、まだできることを考えるようにして希望を持ち続けることができました。希望があったからこそ一歩を踏み出せたのです。

人生は完ぺきである必要はありません。不完全であるからこそ、私達は成長できます。欠けているからこそ、補い合える。弱さがあるからこそ、お互いを思いやれる。そういう不完全さの中にこそ人生の本当の美しさがあるのではないでしょうか。

私の体は動きません。声も出ません。でも、それは私の人生のほんの一部にすぎないんです。大切なのは、与えられた条件の中で、今をどう生きるか。今日より、明日は少しでも良くなろうと努力すること。

太陽は一つしかありませんが、世界を明るく照らすことができます。皆さん一人一人も同じようにかけがえのない光を持っているんです。その光は人によって違うかもしれません。でも、それぞれが、誰にもまねのできない、素晴らしい輝きを持っているんです。

いまもしかしたら暗闇の中にいると感じておられる人もいるかもしれません。でもどうか希望を手放さないでください。必ずあなたが輝く日が来ます。この世界に永遠に続くものはありません。苦しみも、悲しみも、いつかは必ず終わります。でもその経験は無駄にはなりません。それは私たちを強くし、優しくし、より深い人間にしてくれるはずです。

人生の中でさまざまな困難に出会うでしょう。でも、大切なのは、その困難にどう向き合うか? 感情的になるのではなく、一歩一歩、着実に前に進んでいく。そうすれば、必ず道はひらけていくはずです。

≫ コラム一覧へ

ご依頼・ご質問などお気軽にお問い合わせください CONTACT