女性刑事姫川の慧眼と愚痴

一昨日に読了した誉田哲也(ほんだてつや)の『オムニバス』のなかに、主人公の女性刑事姫川のこんな独白がありました。これって、サービスとホスピタリティとの違いに通じるかもと思い、メモしました。

「突き詰めると、家事まで含めて世にある仕事って。物差しが自分の充足感だけになっちゃうと、それが歪んでいようと捻じれていようが、かまわなくなっちゃう。でも誰かのために、っていう物差しがあると、いろんなものが整ってくる・・・。」

ところが今朝、ウォーキング中にユーチューブで古今亭志ん朝の古典落語(人情噺)『濱野矩随』を聴いていて、その筋立てがメモの内容とあまりにも符合しているのにびっくりしました。家に帰ってから、立川志の輔で同じ噺を聴いてみましたが、2人の噺家の持ち味の違いを改めて実感しました。もしお時間があられたらお試しください。

 

ところで姫川刑事は居酒屋で酒に酔っぱらって、同僚にこんな愚痴をこぼしています。これって上の話にちょっと通じるところがありますよね。

「 私の母親・・・・水やり過ぎて、根腐れで草花を枯らしちゃう女の典型。そういう癖って、何度言っても直らないの。そりゃそうだよね。草花が可愛くて、元気に育ってほしくて水やってんじゃないんだから。甲斐甲斐しくジョーロで毎日水をやる。その姿がガラスに映る。それを見て、私って草花を愛する心優しい女、って自分のことを思いたいだけなんだから・・・・馬鹿じゃないの、って思う。ザバザバ水ぶっかけられて、溺れそうになってる方の身にもなってみろっッーの」

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