恩田陸『錆びた太陽』

(1)ある環境保護団体が日本政府に原子力発電所の完全停止を要求したが、日本政府はこれを拒否。これに反発した環境保護団体は国内の原発を爆破した。汚染された広大な原発近隣地域は「立ち入り禁止区域」に指定され、域内の維持・管理業務はヒューマノイド(人型ロボット)に委ねられるようになった。
(2)ところがこの「立ち入り禁止区域」内には、核爆発で死亡して埋められていた人々の一部が生き返り、核汚染の後遺症に悩まされながらもゾンビとして自活していた。
(3)その後人口が5千万人台にまで減少した日本は、ひっ迫した財政立て直しのために、彼らからも税金を徴収すべく、国税庁は女性調査官を現地に派遣した。
(4)さらに日本政府は抜本的な財再建策として「立ち入り禁止区域内」に巨大地下貯蔵庫を建設し、世界中の核廃棄物を受け容れて外貨収入を稼ぐという「護美箱計画」を極秘裏に立ち上げていた。
(5)これを知った国税庁女性調査官、ヒューマノイド、ゾンビたちは力を合わせて「護美箱計画」の阻止に立ち上がる・・・・・。

以上は『蜂蜜と遠雷』で直木賞を受賞した恩田陸の受賞後初の長編小説『錆びた太陽』のあらすじです。いかがですか? 私は何よりもそのスケールの大きな発想に脱帽です。またヒューマノイドの指導者である「ボス」の冷静沈着かつ柔軟なリーダーシップは見事です。

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