民主主義と将棋

日経新聞に、GHQ(マッカーサーを頂点とする連合国総司令部)が当時大阪にいた升田幸三を本部に呼びつけたというエピソードが紹介されていました。大変面白い話なので紹介します。

GHQは、昭和のスター棋士升田に(日本人が大好きな)将棋も民主主義に反していることを納得させ、それを世間に広めたかったのです。

升田は軍服姿のGHQ幹部が並ぶ部屋に通されると、こう言ったそうです。「酒を飲ませてもらいたい」。 そして出された缶ビールを一口飲むと「不味いなあ。これは本物のビールか?」と言い放ちました。交渉ごとの常道である、「カマシ」ですよね。

「我々がたしなむチェスと違って、日本の将棋は取った相手の駒を自分の兵隊として使用する。これは捕虜の虐待であり、人道(民主)主義に反するのではないか」、これがGHQの言い分でした。

これに対して升田は缶ビールを片手に反論します。
「冗談を言われても困る。チェスで取った駒を使わんのこそ、捕虜の虐殺である。日本の将棋は、常に全部の駒が生きている。たとえ捕虜になってもそれぞれに働き場所を与えようという思想だ。しかも、金は金、飛車なら飛車と、捕虜になる前の官位のままで仕事をしてもらう。これこそ本当の民主主義ではないか」

結局、GHQからさらなる追求はなく、将棋のルールもそのまま残りました。
どうやらGHQは人選を誤ったようですね。

将棋もチェスもインドのチャトランガ(紀元6世紀ごろ 戦争を模したゲーム)がルーツだそうですが、東に行くと将棋、西に行くとチェスに行きつきます。とくに将棋の「相手の駒を取ったら、その分 自分の軍隊が強くなる」という発想は、チェスには全くないですよね。

いまアメリカで民主主義が音を立てて崩れていってます。だれかトランプ大統領に「将棋」を教えてくれませんかね?

私は将棋は全くダメで、もっぱらヘボ碁を楽しんでいますが、「囲碁」を持ち込むと話が長くなるのでこの辺でやめます。安徳拝

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