気になった日本経済新聞記事

1.「肥満症薬が心不全に効果 パーキンソン病にも、米欧で成果」
私がこの見出しに注目したのは、楡周平著『限界国家』に、こんな文章が出ていたからです。
「今、医薬品として販売されている育毛剤は、全く違う病気に使われる薬の治験中に、服用した患者の毛が生えてきたのがきっかけとなった。しかしもしすでに発毛効果がある薬が発売されていたら(あるいは開発のめどが立っていたら)、日の目を見なかったであろう。なぜなら莫大な開発費をかけて発売にこぎつけた既存薬が売れなくなるからだ。製薬業界では、既存薬が他の薬にも効くんじゃないかという研究は禁忌なのだ。仮に医者の誰かが、このクスリはこの病にも効果があると言ったところで、試す気にはならない。そんなことしたら、適用外使用になる。万一問題が起きたら、訴訟になっても不思議でない。」
医薬価格の高騰が医療崩壊の引き金の一つになりつつある現在、今後は医薬の汎応性に対する障壁が壊されていくことが望まれますね。また小さなことですが、見出し文中に「欧米」ではなく「米欧」とありました。どうやらネットでも議論されているようですが、私は今朝初めて気が付きました。

2.自分が書いた記事がデスクでボツになった記者のうっぷん晴らしコーナーではないかと思いながらいつも楽しんでいる「大機小機」ですが、今朝はこんなフレーズが気になりました。
「思えば30年前のIT革命と叫ばれた時代。日本企業も相応のIT投資を行った。しかし、IT化をコスト削減手段だと思い込んで、新たな付加価値の創造や事業組織の変革に進むことはなかった。それが「失われた30年」の始まりであった」
いま私たちはAIやロボットで失われる職場、仕事について戦々恐々としています。新たな「失われた○○年」が始まらないか気になります。

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