無財の七施 (仏教とホスピタリティ)

 以前、瀬戸内寂聴さんがテレビで「お金のいらないお布施があるのよ。それは相手の人に笑顔を向けることなの。これを仏教では”顔施”っていうの」と言われていました。それを思い出してちょっとネットで調べると、「雑宝藏経」というお経の中に、だれでもできる七つの布施「無財の七施」というのがありました。寂聴さんが言われた”顔施”は二番目にあります。よく考えると、これって「ホスピタリティ」そのものですよね。九月からはまた九州文化学園調理師専門学校で「ホスピタリティ概論」が始まりますが、今年はこれからスタートしたいと考えています。合掌

一、眼施(慈眼施)
慈(いつく)しみの眼(まなこ)、優しい目つきですべてに接することである。

二、和顔施(和顔悦色施)(わがんえつしきせ)
いつも和やかに、おだやかな顔つきをもって人に対することである。

三、愛語施(言辞施)
ものやさしい言葉を使うことである。しかし叱るときは厳しく、愛情こもった厳しさが必要である。思いやりのこもった態度と言葉を使うことを言うのである。ディズニーランドの電話オペレーターの部屋には「声に微笑みを Smile in your voice」というスローガンが掲げられているそうです。

四、身施(捨身施)
自分の体で奉仕すること。模範的な行動を、身をもって実践することである。
人のいやがる仕事でもよろこんで、気持ちよく実行することである。

五、心施(心慮施)(しんりょせ)
自分以外のものの為に心を配り、心底から、共に喜んであげられる、ともに悲しむことが出来る、他人が受けた心のキズを、自分のキズのいたみとして感じとれるようになることである。共感力と言い換えてもいいのではないでしょうか。

六、壮座施(そうざせ)
わかり易く云えば、座席を譲(ゆず)ることである。疲れていても、電車の中ではよろこんで席を譲ってあげることを言う。さらには、自分のライバルの為にさえも、自分の地位をゆずっても悔いないでいられること等。

七、房舎施(ぼうしゃせ)
雨や風をしのぐ所を与えること。たとえば、突然の雨にあった時、自分がズブ濡れになりながらも、相手に雨のかからないようにしてやること、思いやりの心を持ってすべての行動をすることである。その昔、ヨーロッパでは旅人に一晩の宿を提供する民家の入り口にはクレマチス(てっせん)の花が目印に飾られていたそうです。クラマチスの花言葉の一つは「旅人の喜び」です。

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