西武鉄道特急列車ラヴューとマティス

西武鉄道の最新型特急列車ラヴューは、これまで列車デザインを手がけたことが無い建築家 妹尾和世さん(日本人女性初のプリツカ―賞受賞者)が手がけました。その先頭の丸窓を見た瞬間、私はマティスが描いたロザリオ礼拝堂内の二つの壁画を想起しました。しかし、妹尾さんも出ていたラビュー特集テレビ番組において、この関連については全く触れられておらず、たぶん私の「妄想」なのでしょう。皆さんは如何思われますか?

PDF画像を添付していますので、ぜひご覧ください。   もう一つ、妹尾さんがこだわったのが車体の塗装です。外の風景がぼんやりと映るようにマット仕上げ(艶や光沢を抑える塗装方法)にしていることです。彼女はこの手法をすでにルーブル美術館ランス別館にも取り入れていますが、外部景観に屹立するのではなく、うまくマッチングすることを目指しています。

(蛇足)以前、カリフォルニアで、外壁全体がガラス窓で覆われた高層オフィスビルに出会いました。小さく区割りされたガラス板が微妙に歪んでいました。私はそれを見て、「アメリカの板ガラスの製造レベルはまだまだなんだ」とつぶやいたところ、同行していたデザイナーからたしなめられました。「アントクさん、あればわざと一枚一枚歪んだガラスを貼っているんです。」言われてみると、カリフォルニアの青空に浮かんだ白い雲の動きがガラスの一枚一枚に不連続に映っており、壁面全体としてなんともリズミカルな映像を映し出していました。なるほど!とデザインの力を実感させられました。

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