先日、NHKで足立美術館と桂離宮の庭園づくりについて90分間番組(再放送)がありました。ちょうど足立美術館から帰ったばかりでしたのでとても楽しめました。以下は私が考えたことです。
(1)まず私が気づいたのは、この二つの庭園のポジショニングをそれぞれ、自然美を大事にするイギリス庭園と、様式美を大事にするフランス庭園の間に置いて考えたらよいのではないかということです。
(2)私が気になったのは、足立美術館が紅葉の落ち葉一枚も排除するという潔癖さです。利休が庭に咲き誇っていた朝顔を全て摘んで、茶室に一輪だけ挿して秀吉を迎えたというエピソードがあります。秀吉がそれに感動したという説と、自然美を殺したのではないかと秀吉の研ぎ澄まされた感性がこれに内心反発したという説があります。どちらかといえば私は後者の説に軍配を上げたいですね。
(3)この二つの庭園の様子を見ながら、「綺麗な」と「美しい」という形容詞が浮かびました。この「美しい」と「綺麗な」の微妙な違い、さっそく二つの生成AIに訊いてみました。
【Cockpit】
「綺麗い」
美しいだけでなく、清潔で整然としている様子を表します。話し言葉でよく使われ、英語では「clean」「organized」「neat」「tidy」などに相当します。例えば、「綺麗な部屋」「綺麗に片付いた本」などです。
「美しい」
形や色、見た目が良いことを意味します。主に書き言葉で使われ、英語では「beautiful」「good-looking」「lovely」「attractive」などに相当します。例えば、「美しい景色」「美しい着物」など、素敵なものや人に対して使えます。目に見えないものについても使うことができます。「美しい心」などです。
このように、両者は似ていますが微妙なニュアンスの違いがあります。目に見える美しさには「美しい」を、清潔さや整頓には「綺麗」を使いましょう。
【チャットGPT】
「綺麗い」
*日常会話でよく使われる言葉です。
*見た目が整っている、清潔である、魅力的であることを指します。
*外見や服装、風景、物の状態などに対して使われます。
「美しい」
*より文学的で感覚的な表現です。
*単に見た目だけでなく、その対象が持つ内面的な美しさや、全体的な印象に対して使われることが多いです。
*自然景観や芸術作品、人の姿勢や行動などに対して使われます。
以上、二つの生成AIの回答を比較してみると、私はチャットGPTの回答の方がしっくりきます。そして、あえて言えば足立美術館の庭園は「綺麗い」、桂離宮の庭園は「美しい」と形容したいですね。いかがですか?
(4)二つの庭園で働いておられた職人さんの顔、とても魅力的に映りました。日本という国柄の特徴を世界にアピールするためにも、「職人」というシゴトの魅力をもっと大事にしたいものです。私はモンブランとパイロットのボールペンを持っていますが、二つのパーツを繋ぐネジの精密さがモンブランの方が圧倒的に優れています。値段が違うと言えばそれまでですが、見えないところにも手を抜かない、それが日本製品の良さだったはずです。これはほんの一例ですが、日本企業の多くがコスパやタイパに汚染されつつある現在、このままでは職人仕事はヨーロッパに負けてしまいそうで残念です。
(5)いずれにせよ、この造園の世界にはできればAIやロボットの侵入を勘弁してもらいたいですね。