音楽会のマナーに変化?

“チャ・チャ・チャ チャン チャーン チャ チャーーン!”

 イケメンの米国人ピアニストであるクライバーンが、この有名なメロディーを弾き始めると、コンサートホールを埋め尽くしたフィリピン人から万雷の拍手!眉をひそめたのは、我々日本人などの数少ない外国人「自称クラシック音楽愛好家」だけでした。クライバーンもびっくりしたようですが、そこはプロフェッショナル、すぐに気を取り直して弾き続けましたが、その後は少し投げやりな演奏だったと記憶しています。いまから40年も前の懐かしい思い出です。ちなみに曲はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番ですね。

今でも、私はコンサートに行くと途中で拍手しないように周りをうかがいながら聴いています。

 しかし、以前カーネギーホールの理事長が、もし感動したのなら、楽章と楽章の間に拍手しても構わないと言っていました。またあの口うるさい(?)小林秀雄は「音楽会の聴衆は、身体を動かすことを禁止されて椅子に釘付けになっている。(中略)だから、音楽会を出たとき不快な疲労感がある。」と言っています。

あの時のフィリピン人の嬉しそうな顔を思い出すと、「ケッ、だからフィリピン人は・・・」などと上から目線で考えたことを反省しています。

 なお、小林秀雄は返す刀で多くの美術館が、世界中の有名な絵を本来飾っていたであろう教会や貴族の館の壁から引きはがし、額縁という移動可能な小さな住居に押し込んだうえに、狭い壁一面にずらっと展示していると噛みついています。ただし、この点だけは、最近大分改善されてきているのは喜ばしい限りです。

そういえば、数年前、東京で春画展に行ったときには本当に疲れました。あまりにもじっと目を凝らし続けたからでしょうね。若い女の子が多く、男が少なかったのがとても気になりました。

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