セコム社長の朝

朝の八時過ぎ、セコム社長の仕事は顧客からのクレームメールを読むことから始まる。平均毎日200通くらいある。最も気をつけるのは、「社員が決められた仕事をきっちりこなしているのに、苦情が寄せられたケース」である。全体の数%にしかすぎないこの種のクレームに、新しい戦略のヒントが隠れているのだ。

ショベルカーでATMごと現金を盗むなど、最近はとんでもない事件が出てきている。しかし、社長はそんな事件の発生そのものよりも、自分の会社の社員の事件への対応に猛烈な不満を感じている。

担当者は、「社長、大丈夫です。あれは想定外の事件で、契約上はセコムの責任ではありません。」と回答してくる。そのたびに社長は、「我々の顧客が現実に被害に遭っている。どうして大丈夫なんだ。」と雷を落す。「顧客がセコムに抱く期待と、我々の現実の対応とのギャップが大きくなれば、セコムにとって致命傷になりかねない。」社長の悩みは尽きないようだ。

 

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