今朝の日経新聞に、中国文学研究家である明治大学加藤徹教授の大変興味深い論説が掲載されていました。そのエッセンスを以下に紹介します。
『 「疾」の字源は、病気が矢のような速さで進行すること。中国の漢方医学はそれなりにレベルが高かったが疫病の発生は防げなかった。歴代王朝の支配者と人民は、そのたびに国土の広さと人口の多さに頼る「駆邪逐疫」戦略をとるしかなかった。社会的弱者を中心に多数の死者が出るのは覚悟のうえである。現代中国のコロナ対策も、本質は依然として「駆邪逐疫」の戦争である。犠牲を覚悟で膨大な人員を動員し、犠牲者の屍を乗り越えて決着をつける。戦争なので、人民も都市封鎖の苦労を我慢する。国営放送は、看護師などのけなげな「戦士」や軍隊を明るく勇壮なBGMで流し、人民は戦争勝利の高揚感に酔う。今、中国は「第二波」の戦争に備えている。中国政府が外国に対して自国の責任を理性的に語れるようになるのは、まだ先だろう。』