クリステン・ハディード著『奇跡の会社』から学ぶ社員全員で成長する方法(3)

いつものように書店をぶらぶらしている時に、『ザッポス伝説 原題は Delivering Happiness: A Path to Profits, Passion, and Purpose』の表紙が目に飛び込んできた。利益、情熱、目的。どれも私が手に入れたいものだ。著者のトニー・シェイと会い、企業文化を明文化することを教えられた。すぐにみんなで考え、最終的に以下の10のコア・バリューを決めた。これで採用部門のメンバーは楽になるはずだ。ただし、会社を辞めさせる基準もまたコア・バリューになるはずだ。シェィは、そうしなければ企業文化は守れないと言っていた。

1.道徳心を忘れない。
有言実行、常に真実を語ること。
2.パンチをかわす。
計画どおりにいかないときは、柔軟に対応する。
3.火の輪をくぐる
決められたことをやるだけでなく、それ以上の行動を起こす。
4.責任を全うする。
自分の行動が周囲に与える影響を理解する。個人の欲求よりチームの
利益を優先させる。
5.礼を重んじる
相手に敬意を払い、分別をもって言葉を選び、ポジティブな意識を持
ち続ける。
6.当事者になる
自分の仕事と判断に責任を負う。スチューデント・メイドを自分が経
営しているつもりで考える。
7.創造性のドラゴンを解き放つ
既存の考え方にとらわれず、問題解決に取り組み、新しいアイディア
を育てる。
8.社会に還元する
情けは人の為ならず。コミュニティに恩返しするのは、コミュニティ
を心から大切に思うからだ。
9.今声を上げるか、一生黙っているか
チーム内では、不安や疑問、意見、批判、称賛をつねに言葉で伝える
10. 志を高く
愛し、信じているスチューデント・メイドの成長と繁栄のために、
最善の努力を尽くそう

私たちは面接で、応募者ではなく自分に問いかけている。この人に安心して自宅の鍵を預けられるだろうか? この人と楽しく働けるだろうか? しかし、採用面接では、応募者は基本的に最善の振舞を見せる。本当にコア・バリューを備えているか、これを面接で確かめるためにどんな質問をすればよいか? これまで多くの工夫をしてきたが、いまでも完全ではない。

『ザッポス伝説』によれば、仕事に全力で取り組む意思がなさそうな人を少しでも減らすため、採用直後の4週間の研修中」に辞める人には2,000ドル支払う。2000ドル受け取って辞める人は、ザッポスの一員になりたいからではなく、給料をもらうためだけに来たのだろうと、CEOのシェイは考えている。もっと給料が高い仕事が見つかった瞬間に辞めるであろう人に時間と資源を費やすより、2000ドル払っても早く辞めてもらった方が結局は安く済むというわけだ。

ザッポスのようなき資金的な余裕がないため、私たちは採用後の早期脱落(ミスマッチ)を防ぐために面接を終え採用したいと思った候補者にすぐに「スクープメール」を送るようにした。二部構成で、第一部は実際に働いている学生に、仕事に対する好きなところや嫌いなところを率直に書いてもらったものである。どんな厳しい内容でも、全て送った。第二部は、会社の運営チームから、①学生が私たちにどんなことを期待できるかについて、②私たちが学生にメンバーとしてどんな期待(学習と成長)をするかについて、具体的に述べたものである。スクープ・メールで、私たちは全ての事実を明らかにした。学生はもう一度考え直すことが出来、働き始めて数か月で辞める学生も減った。

私たちは1オン1ミーティングは、原則としてオフィス外のカフェやレストラン、フローズンヨーグルトの店などで行うことにした。

グループでのブレーンストーミングは誰もが同じくらい好きなわけではない。そこで、ブレーンストーミングは自由参加とし、欠席するひとは私宛にメールでアイデアを出してもらうようにした。これはとても良い結果をもたらした。

私はリーダーとしての自分の仕事は、周囲を支えることだけではないと理解した。弱さを怖れないようしすることもリーダーの役割なのだ。メンバーに自分をさらけ出してほしいなら、私自身がさらけださなければならない。

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