先日、長崎県立美術館でプラド美術館修復士(日本人女性 国家公務員)の講演を聴きに行きました。そのなかで何枚かの絵画修復の事例が紹介されましたが、正直、これまで持っていたイメージが壊されたように感じたものがありました。システィーナ大聖堂の「最後の審判」を1980年から1994年の大改修後に見たときにも、同じように違和感を覚えました。
以前、小坂先生から絵画の修復には、(1)描かれた当時の姿にできるだけ戻すというアプローチと (2)これ以上の劣化を防ぐ手立てを施すというアプローチがあることを教えてもらいました。「最後の審判」は(1)の方法がとられていますね。
しかし、現在の国際的な潮流は(2)保存・保全を重視する傾向にあるようです。例えば、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」も、失われた部分の描き直しは行わず、黄変したニスの一部を慎重に除去し、将来的な保存環境の改善にとどめられたそうです。

