「自立」ってなに?

「人のお世話にならぬよう、人のお世話ができるよう」 これは亡父の口癖でした。そしてそのあとにいつも、大人になったら「自立できる人間」になれと言っていました。

 子供のころは、てっきり亡父のオリジナルかと思っていましたが、後藤新平の言葉だそうですね。後藤は、そのあとに「そして報いを求めぬよう」と言っています。

 今朝この言葉を思い出したのは、日経新聞「私の履歴書」で、元厚生労働次官 村木温子さん(冤罪で約5か月間収監)が紹介していた熊谷晉一郎東大教授の言葉を見たからです。
「自立とは依存しないことではない。自立とはたくさんのものに少しづつ依存できるようになることだ」

 実は、大学教員時代、エラソーに父の言葉を話していたところ、ある学生が手を上げて「センセイ、それは少し違うと思います。人間は誰のお世話もならずに生きてはいけないんではないでしょうか?」と鋭い突っ込みを入れてきました。  池上彰さんなら「いい質問ですね」と言いながら時間稼ぎをするでしょうが、未熟な私はどぎまぎしてしまい、そのあとどうとりつくろったかは記憶にありません。今、あの学生はどうしているのか?

【蛇足】以下はテレビ番組「最後の授業」のなかで哲学者の鷲田清一さんが言っていた言葉です。
 「市民としての強さのことを今の社会では「自立」と言います。 「自立」は「独立 independence」ではなく、むしろ interdependence(支えあい、頼りあい)のことです。人々がいま「絆」という言葉で表現しようとしているのも、そういうことだと思います。言うまでもありませんが、自分もまた時と事情に応じて、というか気持ちとしてはいつも、支える側に回る覚悟と用意がないといけません。このことはとくに肝に銘じてほしいと思います」        

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