先月20日、トランプは就任演説で「米政府の公式見解として、性別は男性と女性の二つのみとする」と宣言しました。これにかぎらず、トランプは前民主党政権が進めていた DE&I(Diversity=多様性、Equity=公平性、I=包括性)政策の転換に熱心で、これに追随する国内大手企業もウオルマートやメタをはじめ徐々に増えてきています。
米国では現在人口の6割ほどを占めている白人は2060年ごろまでには5割を割り込むことが見込まれており、多数派ではなくなることへの焦りが白人を中心とする保守層の結束を促し、一部ではDE&I推進企業への不買運動も見られます。
この流れ(保守層の恐怖感)をうまくつかみ、自分の支持につなげたのがトランプだったのではないでしょうか。就任後の彼の高飛車な外交姿勢、官僚組織の解体などはご存じのとおりです。
昔、安国寺の僧恵瓊は、信長が「高転びに仰向けになり候」と予言し、その通りとなりました。しかし、トランプが仰向けに倒れた時には、その地響きは世界全体に大激震をき越しかねません。なんとか静かに退場してもらいたいものです。
ここで私が思い出すのは、ずっと昔 雑誌『選択』のなかで、1991年のソビエト連邦崩壊の原因の一つが、ロシア人の比率が5割を切ったことであると伝えていたことです。今朝、あらためてチャットGPTに訊いたところ、1939年には58.4%であったのが崩壊2年前の1989年には50.8%にまで低下していました。
他の多くの予測と違い、人口予測だけは大きく間違うことがありません。2060年ごろにアメリカの白人の構成比が50%を切った時、大きな地殻変動が起こらないように、アメリカだけでなく世界もいまから慎重な準備をしておくべきだと思います。2060年まで35年、いまの大学生は、そのころ55歳前後の働き盛りです。油断めさるな、オノオノガタ!
【蛇足】不勉強な私は ”Equity” は「資本(金)」としか思い浮かばなかったため、DE&Iの ”E” はてっきり ”Equality”であると思い込んでいました。違うんですね。調べてみると、「Equity(公平性)」 とは、すべての人が平等な機会を得られるように、それぞれの状況やニーズに応じた適切なサポートやリソースを提供することを意味し、「Equality(平等)」が全員に同じものを与えることを意味するのと違い、一人ひとりの違いを考慮して必要な支援を提供することに重点を置いている点だそうです。なるほど!